雷都

 

この町の好きなところを書こうと思う。

ひとつに、雷とともに豪快な雨が降るところ。

 

黒い雲がどこからやってきて一面が暗くなり、すーっと冷たい風が吹いたと思うと、地鳴りのような雷が鳴る。ショーの幕開けみたい。

途端に、ざあざあ雨になる。(時には前が見えないほど!)

そして気が済むと何事も無かったかのように晴れ空になったりもする。

その潔さがまたいい。

本当に突然やってくるので、折りたたみ傘が手放せない。

 

雨に滲む都会を眺めるのが好きだったけれど、濡れた田舎風景もまた違った味わいがあり、気持ちがいいと思う。

雨の東京はドラマが起こりそうだけど、ここはお風呂場の窓に張り付くカエルがいるだけだ。

洗いざらしの髪につっかけを履いて、外に出る。

すっかり冷やされた空気をおなかいっぱい吸い込む。

 

ここに越してくる前、夫がこの町について、「雷の都と書いて、雷都というんだよ」と教えてくれた。

そして鳴り響く雷の動画を送ってくれもした。

まだ私はこの土地の本気の雷を知らないらしい。

声を出して驚くよ、と言われている。